親の施設入居が決まったとき|介護用品と空き家の順番
親の施設入居が決まった。ほっとしたのも束の間、今度は「家をどうするか」という問題が来ます。荷物はそのまま、介護ベッドも置いたまま、家賃や固定資産税だけが出ていく。
やることが多いので、順番を整理しておきます。
- 介護ベッドや車いすは、借りている場合と買った場合がある
- 住民票を施設に移しても、介護保険の保険者は元の市町村のままになる制度がある
- 自宅を空き家にすると、放置期間によって税金が変わることがある
- 家財の整理は、本人が判断できるうちに聞いておく
1. 福祉用具は、借りている可能性があります
介護保険には、福祉用具を借りる「福祉用具貸与」と、買う「特定福祉用具販売」があります。借りている物は返却が必要です。
貸与(レンタル)の対象は13種目です。車いす、車いす付属品、特殊寝台(介護ベッド)、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置。
購入(特定福祉用具販売)の対象は9種目で、腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、排泄予測支援機器、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具、固定用スロープ、歩行器、歩行補助つえです。購入は同一年度で10万円までという上限があり、費用の9割(所得により8割または7割)が償還払いで給付されます。
2024年4月から、固定用スロープ、歩行器、単点杖、多点杖については貸与と販売を選べる「選択制」が導入されました。そのため、同じ種類の用具でも、借りているか買ったかが家庭によって違います。
参考:厚生労働省:福祉用具・住宅改修/福祉用具貸与の対象種目/特定福祉用具販売の対象種目
借りたのか買ったのか分からないとき
家族には分からないことが多い部分です。確認先としては、担当のケアマネジャー、福祉用具の事業者、または地域包括支援センターがあります。地域包括支援センターは市町村が設置しており、高齢者や介護している家族の相談を受ける窓口です。
処分してしまってから「レンタル品だった」と分かると、弁償の話になります。介護用品は、確認が取れるまで動かさないでください。
2. 住民票を移すかどうか
施設に入るとき、住民票をどうするかという話が出ます。介護保険には「住所地特例」という仕組みがあり、介護保険施設等に入所して住民票を移しても、移す前の市町村が引き続き保険者になります。
これは、施設のある市町村に給付費の負担が偏ると施設整備が進まなくなるため、という趣旨で設けられた制度です。対象となるのは、介護保険3施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護医療院)と、有料老人ホーム・軽費老人ホーム・養護老人ホームなどの特定施設です。
手続きの要否は市町村の窓口で確認してください。
3. 家を空き家にするなら、期限を意識する
空家等対策の推進に関する特別措置法が改正され、2023年12月13日から「管理不全空家等」という区分ができました。放置すれば特定空家になるおそれのある状態の空家について、市区町村長が指導し、改善されなければ勧告できます。
勧告を受けると、その土地の固定資産税の住宅用地特例(小規模住宅用地で6分の1、一般住宅用地で3分の1の減額)が外れます。指定された時点ではなく、勧告を受けた時点です。
売却を考えるなら、相続前か相続後かで使える制度が変わります。相続後であれば、条件を満たせば譲渡所得から最高3000万円を控除できる特例があり、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までという期限があります。
関連:実家が空き家のまま何年も経っている人へ|税金と登記の期限
4. 家財の整理は、本人が話せるうちに
施設に入ると、家の物について本人に確認する機会が減っていきます。そして判断能力が落ちると、家族でも勝手に処分できなくなります。成年後見人であっても、居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要です。
だから、面会に行ける今のうちに聞いておくことに価値があります。
- この家具は誰からもらったものか
- 大事にしていた物はどれか
- 人に譲りたい物はあるか
- 通帳、権利証、保険証券はどこか
- 写真やアルバムをどうしたいか
全部を聞き出す必要はありません。一度の面会で1つか2つでも、後の判断がまったく変わります。
5. 片付けの順番
- 介護用品を確認する。レンタルか購入か。レンタルなら返却の手配
- 貴重品と書類を確保する。通帳、印鑑、権利証、保険証券、年金関係
- 施設に持っていく物を分ける。衣類、日用品、思い出の品
- 家をどうするか決める。残す、売る、貸す。ここで片付けの範囲が決まります
- 残りの家財を整理する。売れる物、譲る物、処分する物
- 公共料金と契約を整理する。電気、ガス、水道、新聞、通信、サブスクリプション
すぐ売らない場合でも、電気を止めるかどうかは考えどころです。換気や点検、内覧のときに使えなくなります。