空き家を放置するとどうなるか|税金と登記の期限
「とりあえず、そのままにしてある」。相続した実家について、いちばん多い状態がこれです。誰も住んでいないけれど、片付けるきっかけもない。そのうちに何年か経つ。
ただ、放置したままだと、税金と法律の両面で負担が増えていきます。2023年と2024年に制度が変わり、その速度が上がりました。
- 2023年12月から「管理不全空家等」という区分ができた
- 勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例が外れる
- 2024年4月から相続登記が義務化され、怠ると過料の対象
- 空き家を売る場合の3000万円控除には期限と条件がある
2023年12月に変わったこと
空家等対策の推進に関する特別措置法が改正され、2023年(令和5年)12月13日に施行されました。ここで新しく設けられたのが「管理不全空家等」という区分です。
これまでは、著しく傷んだ「特定空家等」になって初めて行政が動く仕組みでした。改正後は、放置すれば特定空家になるおそれのある状態の段階で、市区町村長が指導でき、改善されなければ勧告できるようになりました。
税金が最大6倍になる、という話の正確なところ
住宅が建っている土地には、固定資産税の住宅用地特例があります。200平方メートル以下の部分は課税標準が6分の1に、200平方メートルを超える部分は3分の1に減額されます。
ここで正確に押さえておきたいのは、特例が外れるのは「勧告を受けたとき」だという点です。「管理不全空家に指定されたら即解除」ではありません。市区町村長から勧告を受けた特定空家等、および勧告を受けた管理不全空家等の敷地が、特例の対象から除外されます。
つまり、指導の段階で改善すれば、税額は変わりません。行政から連絡が来た時点が、動くタイミングです。
参考:国土交通省:固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置(PDF)
2024年4月から、相続登記は義務です
不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務化されました。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。
これは施行日より前に開始した相続にも適用されます。すでに相続している実家がある場合、令和9年(2027年)3月31日までが期限です。遺産分割がまとまらない場合は、「相続人申告登記」という簡易な方法も新設されています。
売るつもりがあるなら、期限を意識してください
相続した家を売るとき、一定の条件を満たせば譲渡所得から最高3000万円を控除できる制度があります(被相続人の居住用財産に係る特例)。主な条件は次のとおりです。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
- 相続開始の直前に、被相続人が一人で居住していたこと
- 相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
- 相続時から売却まで、事業用・貸付用・居住用に使っていないこと
- 譲渡時に耐震基準に適合しているか、家屋を取り壊すこと
控除額は最高3000万円ですが、令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は2000万円になります。制度自体の適用期限は令和9年(2027年)12月31日までの譲渡です。
「3年以内」という条件があるため、片付けと売却の計画は早めに立てる必要があります。
参考:国税庁:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
片付けの順番
- 登記の状況を確認する。名義が誰になっているか。亡くなった方のままなら、まず登記の手続き
- 売るのか、貸すのか、持ち続けるのかを決める。これによって片付けの範囲が変わります
- 売るなら、期限から逆算する。3年の期限、耐震改修や取り壊しのタイミング
- 貴重品と書類を先に確保する。権利証、実印、通帳、保険証券
- 残す物と処分する物を分ける。この段階で買取の相談をすると、処分費が減ることがあります
- 家庭ごみの処分方法を確認する。市町村によって料金も申込方法も違います
注意したいこと
行政から指導や勧告の通知が来ると、それをきっかけに業者から営業の連絡が来ることがあります。慌てて契約せず、複数の見積もりを取ってください。