農家の納屋の片付け|農薬・燃料・農業用ビニールの扱い
実家が農家だった場合、納屋や倉庫の片付けは家の中とは別の話になります。農機具、農薬、肥料袋、ビニールハウスのフィルム、燃料。これらの多くは、家庭ごみとして出せません。
知らずに市のごみに出すと受け取ってもらえませんし、燃やしたり埋めたりすると法律違反になります。順番を知っておくと、無駄な往復が減ります。
- 営農で使った物は「事業活動に伴って生じた廃棄物」になることがある
- 農業用のビニールやフィルムは産業廃棄物。野焼きや埋設は禁止
- 農薬は市のごみには出せない。販売店・JA・産廃業者に相談
- 燃料はごみに出さない。抜いて販売店やスタンドへ
家庭ごみと事業系ごみの線引き
廃棄物処理法第3条1項は「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と定めています。同法11条1項は「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない」としています。
つまり、同じ物でも家庭菜園で使ったものか、営農で使ったものかで扱いが変わることがあります。ここが納屋の片付けで最初に詰まる点です。判断に迷ったら、市町村の担当課に確認してください。
ビニールハウスのフィルム、肥料袋、マルチ
農林水産省は、農業分野から排出されるプラスチック類は廃棄物処理法により産業廃棄物に分類されると説明しています。農業生産者は産業廃棄物の排出事業者として、法律に定められた基準に適合する形で処理する必要があります。廃棄物管理票(マニフェスト)の保管義務もあります。
神奈川県の説明では、これらを屋外で燃焼させたり埋設したりすることは固く禁じられているとされ、違反は行政命令や刑事罰の対象になります。実際の処理は、農協による回収か、許可を受けた産業廃棄物処理業者への委託になります。
参考:農林水産省:農業用使用済プラスチックの適正処理/神奈川県:農業用廃プラスチックの適正処理
使わなくなった農薬
農薬は、市町村の家庭ごみとして出せないのが原則です。姫路市は、農薬・劇薬について「鉛などの重金属や液状の有害物を含んでおり、収集時に有害な物質が飛散する可能性がある」として市では収集せず、販売店への引き取り依頼を案内しています。
茨城県が示している処分方法は次の3つです。
- 許可を受けた廃棄物処理業者に処理を委託する
- 市町村が回収に対応している場合は、その方法で処分する
- 地域で共同回収の体制がある場合は、その方法で処分する
丹波篠山市のように、購入した店舗、農協(年1回の廃棄農薬回収事業)、産業廃棄物処理業者への相談を案内している自治体もあります。費用は排出者の負担になります。
中身が残ったまま何十年も置かれている農薬は、容器が傷んでいることがあります。移し替えたり、水で流したりせず、そのままの状態で相談してください。
参考:茨城県:不要農薬の処分方法/姫路市:適正処理が困難な廃棄物
農機具に残っている燃料
ガソリンや軽油は、ごみとして出せません。横浜市消防局は、消防署では引き取らないとしたうえで「火災予防や環境汚染等の観点から、ご自身で処分するのではなく購入したお店などにご相談ください」と案内しています。
携行缶の取り扱いについては、消防庁が注意を出しています。直射日光の当たる場所や高温の場所に置くと、ガソリンや可燃性の蒸気が噴き出す可能性があるため、日陰で風通しのよい場所に保管すること。蓋を開ける前に少しずつエア抜きを行うこと。温まった缶が常温に戻るには約6時間かかるとされています。
納屋に何年も置かれた携行缶は、特に注意してください。開ける前に、消防署や販売店に相談するのが安全です。
参考:総務省消防庁:ガソリンの適切な取扱いに関する通知/横浜市消防局:ガソリンの処分について
「農機具・鉄くず、無料で引き取ります」という話
納屋の片付けをしていると、こうした声をかけられることがあります。環境省は、市区町村の許可や委託を受けずに家庭のごみを回収することは認められていないとしたうえで、無許可業者について不法投棄、有害物質の放出、火災、高額請求のリスクを挙げています。
桑名市は、無許可営業の罰則として「5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する」と案内し、不法投棄の現場に依頼者の名前が残るケースがあると注意しています。
なお、金属スクラップの保管・再生を行う事業場については、2026年に廃棄物処理法等の改正が行われ、許可制が導入されることになりました。施行は公布から2年6か月以内とされています。今後、引き取り業者の選び方は変わっていく可能性があります。
参考:環境省:無許可の回収業者を利用しないでください/環境省:廃棄物処理法等の一部改正について(PDF)
片付けの順番
- 中身が入っている物を先に仕分ける。農薬、燃料、肥料、塗料。これらは相談先が別です
- 売れる可能性がある物を分ける。農機具、工具、鉄材。動かなくても値が付くことがあります
- 産業廃棄物にあたる物を確認する。ビニール、フィルム、肥料袋
- 残りを家庭ごみとして出せるか、市町村に確認する。営農で使ったかどうかで扱いが変わります
- 共同で使っている機械、借りている物を確認する。持ち主が別のことがあります
農薬、燃料、廃プラの扱いは自治体によって違います。必ずお住まいの市町村、JA、購入した販売店にご確認ください。