実家に物が多すぎて手がつけられないとき|進める順番
実家に帰るたびに物が増えている。床が見えない部屋がある。本人は「片付ける」と言うが進まない。——この状態になると、家族は「どこから手をつければいいのか」で止まります。
この記事は、責めるためではなく、進めるための順番の話です。
- 本人の同意なく物を捨てると、関係が壊れて次が進まなくなる
- 安全に関わる場所から手をつけると、合意が取りやすい
- 費用は物量で決まるため、先に見積もりの基準を確認する
- 行政の相談窓口がある自治体もある
まず、急に全部を捨てないでください
家族が良かれと思って一気に処分し、その後まったく協力が得られなくなる——これはよく起きます。本人にとっては、自分の物を勝手に処分されたという体験になるからです。
物が多い状態には、体力の低下、判断の負担、喪失の経験、片付け方が分からない、といった背景があることがあります。「だらしない」という話ではないことが多いです。
安全に関わるところから
合意が取りやすいのは、「捨てる」ではなく「危ない」という理由がある場所です。
- 玄関から居室、トイレ、風呂までの通り道。転倒と、救急車が入れるかに直結します
- 階段と廊下。足元に物がある、照明が暗い、手すりがない
- コンロの周り。紙や布が近くにある状態は火災の原因になります
- 暖房器具の周辺。同じ理由です
- ブレーカーと分電盤の前。物で塞がっていることがあります
ここだけ片付くと、生活の安全が上がり、次の話がしやすくなります。
「捨てる」以外の選択肢を先に見せる
本人が抵抗するのは、多くの場合「捨てられること」に対してです。次のような選択肢を先に示すと、話が進むことがあります。
- 写真に撮って残す
- 一部だけ残して、残りを手放す
- 売れる物は売る(値段が付くと、手放す理由ができます)
- 親族や知人に譲る
- 一時的に別の場所に移す
特に、値段が付くかどうかを知ることは判断の材料になります。「捨てるのはもったいない」という気持ちに、具体的な答えが出るからです。
費用の考え方
片付けの費用は、物量と搬出条件で決まります。同じ間取りでも、物の量が2倍なら人数と車両が増えます。2階からの搬出、道が狭くて車を横付けできない、といった条件も効きます。
見積もりを取るときは、次を確認してください。
- 人件費・車両費・処分費の内訳が分かれているか
- 物量が想定より多かった場合、追加料金がどうなるか
- 家庭ごみの処分について、市町村の許可または委託があるか
- 買取がある場合、古物商許可があるか
- 残す物と処分する物の確認方法
国民生活センターには、作業後に見積もりより高い金額を請求された、残すはずの物を処分されたという相談が寄せられています。作業には立ち会うか、立ち会えない場合は残す物の指示を書面で渡してください。
参考:国民生活センター:遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に
一人で抱えない
親の家がこの状態にあることを、誰にも言えないまま何年も過ごしている方がいます。自治体によっては、福祉部門や環境部門に相談窓口があります。地域包括支援センターは、高齢者の生活全般の相談先です。
近隣から苦情が出ている、建物の安全に影響が出ているといった段階では、行政が関わることもあります。その前に相談しておくほうが、選択肢が多く残ります。
進め方のまとめ
- 安全に関わる場所から、理由を説明して始める
- 本人の同意が取れた範囲だけ進める
- 売れる物の価値を先に知る
- 複数社から見積もりを取り、内訳を確認する
- 一度で終わらせようとせず、回数を分ける
一日で終わらせる必要はありません。今年は玄関と廊下、来年は台所、という進め方でも構いません。止まっているよりは進んでいます。